SEOで成果を出すには、「どのキーワードからどれだけの成果が見込めるか」を事前に見積もることが重要です。これを可能にするのが、キーワードシミュレーション です。
この記事では、キーワードごとの流入数・コンバージョン数を予測し、対策の優先順位をつけるための実践的な方法を、図表とともにわかりやすく解説します。
1. なぜシミュレーションが必要なのか?
キーワードを洗い出して、ページマッピングと内部リンク設計ができた段階では、まだ「どのキーワードから先に対策するべきか」という戦術的な優先度は明確ではありません。
その判断を可能にするのが、「成果に与えるインパクトの見積もり」=シミュレーションです。シミュレーションにより、次のような問いに答えられるようになります:
- このキーワードで上位表示できたら、何セッション獲得できる?
- コンバージョン(CV)は何件見込める?
- どのキーワードに優先的にリソースを投下すべきか?
2. シミュレーションに必要な4つの要素
① キーワードごとの想定順位の概算
まずは各キーワードについて、「何位を狙えるか」の想定順位を設定します。
● 想定順位の出し方
- 競合が弱い場合:自社が上位を取れる可能性があるため、1〜3位を想定
- 競合が強い場合:5位以下の現実的な順位を設定
- AWRやGRCなどの順位取得ツールを活用して、ベンチマークサイトの実績を参考に設定
② SEO経由の想定流入数(セッション)の算出
次に、検索ボリュームと推定CTR(クリック率)を掛け合わせて、想定流入数を求めます。
● CTRの目安(AWR調査データを元に)
想定順位 | 推定CTR(目安) |
---|---|
1位 | 約30.0% |
2位 | 約15.0% |
3位 | 約8.4% |
4〜10位 | 約4〜2% |
● 算出式
想定流入数 = 検索ボリューム × 推定CTR
▼ 例:
「SEOコンサルティング(検索ボリューム:2,900)」で3位を想定する場合:
2,900 × 0.084 = 243.6セッション
③ 想定コンバージョン数の算出
さらに、流入数に対してコンバージョン率(CVR)を掛け合わせて、成果に直結するコンバージョン件数を推計します。
● CVRの目安
- BtoBの問い合わせフォーム:約1〜2%
- ECサイトでの購入:約1〜3%
- ホワイトペーパーDL:約3〜5%
● 算出式
想定CV数 = 想定流入数 × 想定CVR
▼ 例:
CVRを2.0%と設定すると…
243.6 × 0.02 = 約4.87件
④ 対策キーワードの優先順位付け
すべてのキーワードについて、想定CV数が出たら、それを期待値と見なし、優先順位をつけていきます。
▼ 優先度の付け方(例)
キーワード | 検索Vol | 想定順位 | CTR | 流入 | CVR | CV数 | 優先度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
SEOコンサルティング | 2,900 | 3位 | 8.4% | 243.6 | 2.0% | 4.87 | 1 |
SEO外注 | 390 | 3位 | 8.4% | 32.76 | 1.0% | 0.33 | 6 |
トピッククラスターモデル | 720 | 3位 | 8.4% | 60.48 | 1.5% | 0.91 | 4 |
内部リンク 貼り方 | 140 | 3位 | 8.4% | 11.76 | 2.0% | 0.23 | 7 |
CV数が多い順に「優先度1、2、3…」とラベリングすることで、施策実行時に「どこから始めるか」が明確になります。
3. シミュレーションでよくある注意点
- 検索ボリューム0のキーワードでも無視しすぎない
- ニッチでも高CVRが見込める場合は対策価値あり
- 想定順位を楽観視しすぎない
- 競合の強さを加味し、現実的な順位を想定
- CVRは業種やCVタイプによって柔軟に
- 業界平均を知ることで誤った予測を避ける
4. シミュレーションをExcelで簡単に行う方法
以下のような項目で構成された表を用意し、関数で自動計算できるように設定すれば、誰でもシミュレーションが可能です。
キーワード | 検索Vol | 想定順位 | 推定CTR | 流入 | 想定CVR | 想定CV数 | 優先度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
A |
ExcelやGoogleスプレッドシートを使えば、推移のモニタリングや対策後の成果比較も容易に行えます。
まとめ:シミュレーションで施策に「優先順位」を与える
キーワード調査や設計の段階で止まっていては、リソースの最適配分はできません。シミュレーションを行うことで、
- どのキーワードから手を付けるべきか?
- どれくらいの効果が期待できるか?
- 経営判断に繋がる予測を提示できるか?
といった、戦略的なSEOが可能になります。
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